ちいさな船

『ちいさな船』

海の見下ろせる 古いレストラン
「パパ、聞いてるの?」と 子供らの声

あれは二十歳と少し 記録的猛暑
ちょうどこの席で 彼女と別れた

  若すぎた二人の生活( くらし )は
  地図のない航海のよう
  さざ波にさえも 揺らめいた
  ちいさな船


水面を反射した 夏の欠片( かけら )が
彼女の頬つたう 涙で跳ねた

「今日のパパ、変よ」 妻が微笑む
「なんでもないさ」と コーヒー飲みこむ

  若すぎた二人の生活( くらし )は
  地図のない航海のよう
  青春という海に 揺らめいた
  ちいさな船
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by rocknrollnight | 2009-05-26 12:37
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