ランナーズ、ハイ!(前編)

*
若いうちしかできないことがある。
女子に告白しフラレ、あげく学校中に言いふらされたり、
ナイフみたいに尖っては、触るものみな傷つけたり、
盗んだバイクで走り出す行く先もわからぬままだったり、
(バイク盗んじゃいけません)
とにかく、若いうちしかできないことがある。
*
「10キロ?」
「そう、10キロ」
熱した石の上で生イカが、その身をよじりながらも、じゅうと
香ばしく焼けてゆく。
「走るの?」
「そう、走る。もうイカ焼けてるんじゃない?」
今にして思えば、清水の居酒屋、美味しい魚と珍しい焼酎に
その夜の自分のテンションは、いつになく高かった気がする。
親友が、イカを口の中で、くちゃくちゃと咀嚼する顔は、
ロバのようにもラクダのようにも見える。
「一緒にどう?」
箸で人を指すな。
*
富士川キウイマラソン。温暖な静岡とはいえ、11月の強風は、
肌に冷たく、走る気力までも凍らせてゆく。
「寒っ!風強いし」勝手わからず会場に早く到着しすぎたので、
ホットコーヒーで暖を取りながら親友にメールを送る。
「今、起きたところだよ」なんてネボケた返信が届く。
*
親友とその弟、知人、自分をふくめて男6人でのエントリー。
スタート地点まで歩く間、みんな余裕で冗談を交わしている。
自分の笑い顔だけ、ひきつっていたのは決して寒さだけではない。
本番まで2ヶ月も有ったにもかかわらず、計2日、3キロしか
走れていなかったからだ。
1度目は2キロ走った地点で、ひざがグキッと異音をはなち、
完治するまで仕方なく、芋焼酎をお湯で割ったりして過ごした。
今度こそと意気揚々に挑んだ
2度目は1キロ走った地点で、足首をグキッと捻り、
完治するまで仕方なく、ウイスキーを炭酸で割ったりして過ごした。
世間で言う不摂生だ。
そして無情にも、スタートの号砲が鳴った!
*
(ぜひ、ちびまる子ちゃんのナレーターの声で)
後半へ続く
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by rocknrollnight | 2011-12-03 16:48
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