「君への手紙」

「君への手紙」

冬の公園。低い太陽、木々も長い影をひく午後。
乗り手のいない錆びついたブランコ。
貸自転車屋の老人も居眠りをしている。
まるで絵画のように何一つ動かない景色の中で、
時折吹きつける冷たい風だけが、
ざあっと落ち葉をさらってゆく。
最新型のウォークマンから流れてきたのは、
いつか君が教えてくれた、懐かしい歌。

そう、僕らは、ふたたび、会うべきなんだ。

この文章をここまで読んだ君は、きっと、
「あいかわらずだね」
とキーボードを叩き、しばらくは思案しても結局、
送信ボタンは押さないだろう。
そして、かたわらに置かれたマグカップを口にする。
君のカフェラテはすっかり冷めている。

そして僕も、もう以前のように、君からのメールを
いちいち待ちわびて受信フォルダを開くことはしない。
僕は気づいてしまった。
僕らに残された時間が、多くはないってことに。
カフェラテは暖かいうちに飲むに限るってことだ。
いや、何の話だったかな。

そう、僕らは、ふたたび、会うべきなんだ。

止まったオルゴールのネジを巻きなおし、
砂時計をひっくり返し、
高く頑丈な壁を打ち砕き、
凍てついた時間を溶かし、
絡まった糸をほどき、
書きかけの物語を綴り、
好きな音楽の話、失くした恋の話・・・

懐かしい話も尽きた頃、君は僕にこう言うんだ。
「あいかわらずだね」って。

それは僕にとって最高の褒め言葉だとも知らずに。
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by rocknrollnight | 2013-12-13 14:22
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