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「おつかれさまでした」と彼女は満面の笑みで

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僕の勤め先は山梨ローカルのマスコミで、ひとつの建物の中に
新聞社や放送局が入っている。
土曜日の夕方には生放送で、県内の情報を電波に乗せている。
情報番組といっても、ニュースみたいな堅苦しいものではなく、
グルメや行楽など、季節に応じた身近な話題を紹介していて、
スタジオセットも居間を模している。
家族が茶の間で、一家だんらん過ごしているシチュエーション。
おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、
子供は、中学生のお姉ちゃんと小学生の弟がいる。
おばあちゃんと子供は素人で、あとは名の通ったタレントさんが
演じている。

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ちょうど本番前のリハーサルが終わった時間だろうか。
スタジオ近くを通りかかった時、お母さん役の女優とすれ違った。
「こんにちは」と僕が挨拶をすると、
「おはようございます」と返された。
放送局のルールで、仕事入り(前)の時は「おはようございます」と
挨拶をすることを知ってはいたが、その時は、
「こんにちは」って返せばいいのに、ギョーカイぽくってイヤだな
と感じた。

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番組の方はというと、生放送。アクシデントは少ないが、
時間を繋いだり、お父さんやおじいちゃんのアドリブに対応したり、
子役のフォローをしたりと、お母さんの役どころはかなり重要だ。
彼女はまるで実在の母親のように、子供の面倒を見て、笑顔で暖かい
雰囲気を番組にもたらしていた。
今にして思えば、アットホームな番組の方向性を作ったのは、
彼女の貢献が大きいと思う。

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ある夏の夕方、僕は外の写真撮影の仕事から帰ってきた。
暑い一日だった。シャツには汗が塩を吹いたあとが白く残り、
両肩に、くいこむほどの機材を抱えていた。
彼女は番組終わりで、玄関から出てゆくところだった。
僕は疲れていたが、道を譲った。すると、
「おつかれさまでした」と彼女は満面の笑みで声をかけてくれた。
その瞬間、僕は、清水由貴子さんのファンになった。
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by rocknrollnight | 2009-04-22 12:34