ある晴れた夏の日

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ある晴れた夏の日、静清バイパスの長い直線。
強い日射しが駿河湾に、きらきらと反射している。
時々、波立つこともあるけれど、幸か不幸か、
何も代わり映えしない日々。
未来が不安ならば、アクセルを強く踏み込むことを勧める。
車窓の景色は時速100キロで、過去へと飛んでゆく。
そう、時速100キロで、未来へと進んでいることを体感できる。
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「脳の手術を受けることになるかも」
幼なじみからの連絡を受けた時には、いろいろな事を考えて、
眠れないほど心配したというのに。
誕生日には、すっかり飲んだくれて忘れる始末。
翌朝、猛省し1日遅れのメールを送った。
「Happy Birthday!」
バイパスを降りて埠頭で撮った故郷の海の写真を添えて。
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晩夏、花火大会。行く夏を切なく惜しみたいのに、
大音量の歌謡ショーがムードを壊している。
昼間の熱気がアスファルトに宿っている。
河原を抜けてきた風がそれを冷やしてゆく。
草の匂い、虫の声、秋が近い。
夜空に咲いた大輪は、夏の日の残像。
風が運ぶのは、儚い思い出ばかりか。
プログラム最後の大尺玉の花火に祈る。
世界平和よりも家族の健康を。
歌謡ショーは今年限りにして下さいと。
友の手術が成功しますようにと。
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# by rocknrollnight | 2010-08-24 12:30

やあ、そっちはどうだい?

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やあ、そっちはどうだい?
こっちは良くも悪くも、あいかわらずだ。
新聞の論説は、政治家の悪口を並べているし、
イチローは魔法の杖でヒットを打ち続けている。

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あの頃、僕らが熱狂した佐野元春もデビュー30周年を迎えた。
アンジェリーナも三十路となったわけだ。いや待てよ、歌詞の
中では当時既に「NYから流れてきたバレリーナ」だったから、
プラス10ウン歳ということか。

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砂時計の、こぼれ落ちる砂のように

「僕に残っている時間」は、さらさらと

僕の手の隙間から、すり抜け

「僕が過ぎてきた時間」の山に積もってゆく。

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今も こうして
君と僕をつなぎとめているものは、何だろうか?

「記憶」よりもっと 曖昧な
「絆」よりもっと やわらかな
 何か

今も こうして
君と僕をへだてているものは、何だろうか?
「日常」よりもっと うすっぺらな
「運命」よりもっと 透明な
 何か

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君がどこからか、こっそりと(あるいは大胆に)、
この世界を望遠鏡で覗いているだろうから
(覗き穴の周りに墨が塗られているとも知らずに)、
僕はインディージョーンズのように悪戦苦闘しながら、
キンと冷えたビールに今宵も辿り着けている。
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# by rocknrollnight | 2010-06-11 12:50

佐野元春に一番近い日

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「では皆様、拍手でお迎え下さい」
主催者の声とともに、開け放たれたドアから、
冷たい冬の空気を振りほどいて彼は現れた。
颯爽(さっそう)としている。
思えば、昔から佐野元春は颯爽と登場する。

ドラマーが小刻みなビートで空気を振動させると、
キーボードはクロスワードの枡目を埋めるように
ピッタリとそれに合う音を探り当てる。
佐野は、最初の詩がタイプされた紙に手を伸ばす。
一瞬、佐野の1メートル真正面にいた僕と目が合った。
ウインクされた、と言うのは嘘だ。だけど目で合図された。
「準備いいかい?始めるよ」たぶん空耳だ。
佐野が人差し指を立てると、演奏がミュートされ、空気が張り詰めた。

言葉が走り出す。

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ある懸念について。
僕を含め、多くの佐野ファンは、ストラトキャスターをかき鳴らし、
ステージ上を駆け回りシャウトするパフォーマンスを佐野に期待する。
「ポエムリーディング」は、その対極に位置する。
マスクをした参加者が「私の咳が迷惑になるから」と後列に着座する。
息をすまし、眉間にしわを寄せて聞かなければならないのか。

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ドラムから生まれたリズム達が、天井で、本棚で跳ね、浮遊する。
シンセから放たれた音符達が、それを包み込み、交わる。
佐野の言葉は、石のつぶてとなって波紋をおこす。
シンクロと破壊を繰り返す。

時には、自身の胸を叩きながら。
時には、足を強く鳴らしながら。
佐野は躍動する。

カフェの空気が、うねりだした。
観客の頭が揺れている。僕もかかとで床を打つ。
ノレる。

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「次の題名は・・・
僕が旅にでる理由・・・」

このイベントは、雑誌『SWITCH』の25周年を記念して企画された。
また、佐野自身もデビュー30周年を迎える。
この詩は、まるで、この夜のために書かれたようだ。
感傷的なフレーズに涙があふれそうになる。
ここに引用する許可を誰かくれないだろうか。

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帰路、新宿から山梨へ向かう列車の中。
何か、人恋しくなり、宛先不明のメールを打つ。

「貴方が旅にでる理由は?」

きっともらった人は困るだろうから、すぐに削除した。
車窓には自分の顔が反射っていた。

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--Date--
2010.02.19
19:30
--Event--
「SWITCH 25th Presents 佐野元春 Spoken Words Live」
--Place--
西麻布、『SWITCH』編集部地下カフェ「Rainy Day」
--Member--
Words. 佐野元春
Dr. 山木秀夫
Key. 井上 艦
一夜限りのプラチナチケットを手に入れた幸運な50名の詩人たち。
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『僕が旅にでる理由』の詩は、
元春の公式ホームページ
→ハートランドからの手紙
→#101の前半部
と、ほぼ同じものと思われます。
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# by rocknrollnight | 2010-02-23 19:06

はじめての詩

はじめて君が 恋をしたとき
張り裂けた胸から リズムが溢れだし
ひとばんじゅう ひとばんじゅう
君は眠れなかった

はじめて君が フラれたとき
虹は凍てつき トーストは黒こげ
ひとばんじゅう ひとばんじゅう
君は泣いていた

はじめて君が 家を出たとき
小さなぬくもり 母の編んだセーター
ひとばんじゅう ひとばんじゅう
君は手紙を書いた

はじめて君が 酒を飲んだとき
夢を並べて ギターを弾いて  
ひとばんじゅう ひとばんじゅう
君は友と語った

はじめて君が 親になったとき
君自身が生まれてきた意味を知った
ひとばんじゅう ひとばんじゅう
君は「ありがとう」と言った

そして 君はまた一歩踏み出す
次に出会う
「はじめて」に
胸ときめかせながら

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これも「ワイルドターキー」のコンテストへの応募作品。
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# by rocknrollnight | 2010-01-05 18:14

旅の詩

ああ そうだね
深い森だ 
今夜はここで過ごそう
なあに 急ぐ旅でもないさ

枯れ木を燃やし
火をおこそう
ジョークを燃やし
知識を燃やし
過ちや罪も燃やしてしまおう

酒を酌み交わし
陽気な唄を
初恋の唄を
母が枕元で口ずさんでくれた唄を

やがて
旅の途中についた
傷を癒し 眠ろう
こんな深い森で
どんな夢を見るというのだろう

ああ そうだね
とても静かに 夜が明けてゆく
新鮮な朝の光にまじって
潮の香りがする
どうやら海が近いようだ

いいかい?

すべてのものは 動き続けている
止まっているように見える
木々も 石でさえも

過去から未来へ

すべてのものは 動き続けているんだ

さあ 僕らも 歩きだそう
なあに 急ぐ旅でもないさ

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この詩は「ワイルドターキー」ポエムコンテストに
応募した作品です。
つたない文ですが、現在の心境は素直に
表していると思います。
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# by rocknrollnight | 2009-12-28 12:40